この記事はブラック企業にお勤めで、なぜブラック企業がなくならないかと思っている方に向けて書きました。
ブラック偏差値の高い社長の本音はどんなことを考えているのか、実話を元に再現しました。
うちの事務所とお付き合いのある企業は素晴らしい会社が多いのですが、一部ブラックな状態を改善しようとしない企業もあります。
この記事を読めばなぜブラック企業が存在するのか、そしてその企業の将来がどうなるかを予測することが出来るようになります。
なかなか表に出てこない情報を知り、ブラック企業から身を守れるようになりましょう。
衝撃ブラック発言 雇用保険に入らなくても国にバレないと思った
ある会社から、雇用保険と社会保険に入ろうか迷っているので説明して欲しいと連絡がありました。
会社に来て欲しいというので訪問し、手続きを説明して見積もりを提示することになりました。
はじめまして、雇用保険と社会保険の加入をお考えなんですね。
はじめまして、遠いところご足労ありがとうございます。
そうなんですよ、実は従業員に入りたいって言われてしまったんですよ。
そういうことでしたか。
雇用保険は失業手当が出るようになる保険ですね。
従業員さんが失業した時の生活保障になります。
なるほど。
社会保険はどんな保険ですか?
はい、健康保険という名前の医療保険があります。
おなじみの、保険証出して窓口で3割負担で済むのも、この健康保険のおかげです。
それと厚生年金がセットになっています。
国民年金との違いは、厚生年金は国民年金とセットなんですよね。
そうなんですか。
保険料は結構高いんでしょ?
まあ、そうですね。
ただ国民年金と厚生年金のセットなので、国民年金よりも老後の年金はかなり増えますよ。
国民年金のみの場合の倍額になることも珍しくありません。
なるほどねぇ。
ウチの従業員から「この会社は健康保険証無いんですか?」って言われちゃってるんですよ。
そうでしたか。
通常は社会保険に加入して健康保険証をもらうので、無いと心配になるでしょうね。
これって入らないとマズいの?
う~ん、そうですね。
法律で加入が定められているので、入らないとダメですね。
ただ、会社側のメリットも多いんですよ。
そうなの?
なんか保険料だけ取られていく気がするんだけど。
そうですね、たしかに結構な保険料なんですけど、加入していると定着率が上がるんですよね。
入ってないと「ブラック企業じゃないか?」みたいに思われちゃうこともありますよ。
まあ、そうなんだろうけどね。
従業員さんの年金も積みあがっていきます。
雇用保険も、失業手当の履歴が加算されていくんですよ。
従業員さんのメリットもかなりあります。
また、安心して事業が出来ます。
未加入のまま放置するのは絶対に止めた方がいいです。
悪質な場合は追徴金とかペナルティがあるんですよ。
あ、そうなのか。
それはヤバいね。
じゃあ、しょうがない。
加入をする方向で先生の手数料を教えてくださいよ。
承知いたしました。
はい、お見積書はこちらです。
ご検討いただいて、ご依頼の際はお電話いただけますでしょうか?
今日はお忙しい中ありがとうございました。
ここで面談は終わりました。
その後連絡を待ちましたが、結果的に連絡はありませんでした。
今回の見積もりは依頼につながらなかったのですが、意外な展開が待っていました。
ちょうど半年が過ぎた頃です。
先生、お久しぶりです!
覚えてらっしゃいますか?
あっ社長、お久しぶりです。
たしか雇用保険と社会保険の件でしたよね。
そうなんですよ。
ちょっと急ぎで雇用保険に入りたくて。
どのくらいで加入できますか?
そうですね、従業員さんの情報さえあればすぐにお手続き出来ます。
なにかありましたか?
雇用調整助成金(詳細は後述)っていうのを貰いたいんですよ。
でも、もらうには雇用保険に入らなければダメだって。
そうでしたか。
ただ社長、たしか半年前も加入が必要な方がいたので、いまから加入だとどうなるか分からないですね。
どうなるか分からないって、なにかヤバいの?
はい、労働局からさかのぼりで加入しろって言われるケースもあるんですよ。
言われないときもあって、担当者によっても違うようなんですよね。
そっか・・・。
でも雇用調整助成金は貰いたいし、どうすればいいかな。
う~ん、こればっかりは何とも言えないですね。
そもそもなんですが、加入を希望していた従業員さんは大丈夫だったんですか?
まあそうだね。
なんとか丸め込んで入らなかったよ。
雇用保険に入らいないでも国にバレないと思ったしさ。
う~ん、背に腹はかえられない。
雇用保険の手続きを急ぎでお願いできますか?
はい、承知いたしました。
では、早々にお手続きを進めます。
完了したら、書類を御社に送付いたしますね。
先生、ありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
ブラック企業がなくならない理由 社長が適当だから
このあと、悲劇が待っていました。
元々社長からは雇用保険加入が2名と伺っていて手続きを行ったのですが、労働局から従業員全員分の2年分のタイムカード提出を求められました。
理由は1年半前に加入をさかのぼる方がいるのを見て、念のため提出して欲しいとのことです。
もう、こうなったら逃れられません、全員分タイムカードを提出し、労働局の回答を待ちます。
翌日連絡があり、なんと追加で6名分の加入を求められました。
当然保険料もさかのぼりで支払いなので、100万円近い保険料の増額となりました。
急いで顧問先に連絡すると・・・。
社長、お世話になります。
先日の雇用保険の加入の件なんですが、ちょっと予想外な展開です。
え?どうしたんですか?
雇用保険に加入が必要なのは2人だったと思いますが、全員分タイムカード提出を求められました。
労働局が言うには追加で6名分の加入が必要とのことです。
え~、本当ですか?
それはマズいですね。
保険料はどのくらい追加になってしまうんですか?
はい、概算ですが、100万円前後かと思われます。
そ、そんなに払えないよ~。
先生も言ってたけど、本当にそうなるなんて・・・。
はい、今回はちょっと厳しい措置だった気がします。
ただこんなことを言うのもなんですが、他の会社はきちんと加入していることを考えると、しょうがないかも知れないですね。
雇用保険料は従業員さんの、失業手当の貯金のようなものでもあるんですよ。
まあ、そうなんだけどさ・・・。
でも全部は払えないよ、どうすればいいかな。
はい、労働局の方も言っていたのですが、一括で払えない場合は分割支払いも対応してくれるとのことでした。
労働局の番号をお教えしますので、一度連絡してみてはいかがでしょうか?
そっか、わかりました。
一度電話してみます。
いや~、本当に参った。
もう法律違反は凝りましたよ。
このあと、社長は雇用保険料を分割で支払われました。
また追加で社会保険の加入も依頼がありました。
今回の騒動の顛末は、社長があまりにも適当だから起こってしまったと考えられるでしょう。
この手の「バレなければ大丈夫」といった考えを持つ社長は結構いて、経営の経験が浅い社長に多い傾向があります。
とくに深い考えがあるわけでもなく、かといって世間相場もまだ知らないといった状況で目をそらしてしまう。
このような会社に在籍している方は、社長は従業員のことを考えていないと悟りましょう。
多くの場合、本当になにも考えていません。
雇用保険の対象者ってどんな人?
雇用保険法の条文を確認してみましょう。
一 1週間の所定労働時間が20時間未満であるものは適用除外とする。
二 同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者は適用除外とする。
引用元:雇用保険法第6条
つまり、1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用が見込まれる方は、雇用保険の対象となります。
こればアルバイトだから、パートだから加入しないということではありません(昼間学生は対象外)。
また、正社員の方も当然対象となります。
あなたの会社は雇用保険の加入は大丈夫でしょうか?
中小零細企業で意外と未加入の会社がありますので、自分が加入しているかどうかを確認してみましょう。
ちなみに確認方法は、会社が加入していればあなたの雇用保険被保険者証があるはずです。
それを確認させてもらいましょう。
また、雇用保険の履歴は原則として前の会社と通算できます。
もし未加入の会社だと、1年経つと履歴はリセットされてしまうのです。
自分の雇用保険加入状況は必ず確認しておきましょう。
もうちょっと従業員さんのこと、ちゃんと考えて欲しかったなぁ・・・。
まとめ
ブラック企業の社長は適当な方が多いものです。
また、従業員さんのことは二の次で、自分のことしか考えてないケースも多々あります。
そういった社長の考え方を変えるのは非常に難しいですね。
今回は雇用保険の事例でしたが、自社の雇用保険加入状況を確認して、未加入だったらすぐに転職活動を始めましょう。
雇用保険未加入は間違いなくヤバい会社です。