この記事はブラック企業にお勤めで、なぜブラック企業がなくならないかと思っている方に向けて書きました。
ブラック企業の社長の本音はどんなことを考えているのか、実話を元に再現しました。
うちの事務所とお付き合いのある企業は素晴らしい会社が多いのですが、一部ブラックな状態を改善しようとしない企業もあります。
この記事を読めばなぜブラック企業が存在するのか、そしてその企業の将来がどうなるかを予測することが出来るようになります。
なかなか表に出てこない情報を知り、ブラック企業から身を守れるようになりましょう。
ブラック企業がなくならない理由➀ 社長があまり考えてない
通常、サラリーマンは社会保険に加入することになります。
社会保険とは健康保険と厚生年金保険に加入するという意味ですが、中には加入したがらない社長がいます。
加入したときに衝撃だった発言をまとめました。
衝撃ブラック発言!みんなが入ってないから入りたくない
最近顧問先になった会社がありました。
A社長から電話で、ちょっと不満げのようです。
あ、先生?
この前社会保険入ったけど、ほんとに加入が必要なの?
いつもお世話になります!
はい社長、御社は法人なので必ず入る必要があるんですよ。
だって保険料はかかるし、会社のためにならないんじゃないの?
そうですね、たしかに保険料を払う必要がありますね。
ただ、これは年金制度に加入しているってことでもあるんです。
そんなこと言ったって、オレの周りの社長仲間はみんな入ってないよ?
そんなの入る必要ないってみんな言ってるよ。
そうでしたか。
そうだよ。
社労士ってのは会社にメリットを与えてくれるもんだろ?
そういう提案をしてくれなきゃ困るよ。
そうですね・・・。
もし未加入が発覚するとペナルティもあってですね。
あー、分かった、もういいよ。
ここで、電話が切れました。
残念なことですが、社長が社会保険をよく知らず、また深く考えもせず社長仲間がいうことが正しいと思っているようでした。
つまり、会社の業績が、あるいは会社の方向性が・・・といったきちんとした考えではなく、ただ何となく社会保険に入りたくないのです。
社会保険は従業員さんの将来を守り、また老後の生活資金を積み立ててくれるものです。
日々働いてくれている従業員さんのことはどうでもいいのか!?
随分と身勝手だなと思ったものです。
改心後のブラック社長の発言
この電話の半年後くらいにまた社会保険の件で電話が来ました。
あ、先生?
いつも色々対応して頂いてありがとうございます。
あ、社長!
いつもお世話になります!
今度社員を採用するからさ、社会保険の手続きをお願いしたいんだけどいいですか?
はい、承知しました。
それでは〇〇〇に情報を入力しておいていただけますか?
手続き進めますね。
いやー、いつも悪いね。
色々と教えてもらって感謝しているよ。
心が広い先生でよかったよ。
じゃあまた!
・・・あ、ありがとうございます。
それでは失礼いたします。
ここで電話が切れました。
以前の社長とは打って変わって低姿勢でした。
社長の顧問税理士ともつながりがあったので話を聞いてみると、じつはあの後業績が急に悪化して大変だったとのこと。
会社の雰囲気も悪く、従業員さんもどんどん辞めていってしまったようでした。
また、税理士の先生からも「社長、税法もそうですが社会保険とか法律を守らないと、自分にはねかえってきますよ?」と言ってくれたそうで、社長も少しづつ前向きに、少しでも会社を良くしようと考えが変わっていったとのことでした。
従業員さんを大切にすることを、倒産の危機から学んでいただいたのであれば、まあ良しとするか・・・といった顛末でした。
ブラック企業がなくならない理由② 社長があまり世間を知らない
社長が世間を知らないというのは説明が必要ですね。
経営をしているだけあって、色々な知識を持っている社長も多いものです。
ただ、ブラック発言をしている社長は共通点があって、働く人の世間相場を知らないケースが多いんです。
例えば高い給料払ってるんだからサービス残業は当たり前、あるいは社会保険もあいつはちゃんとやらないから入れなくていい、とか。
すべての人がそうではないと思いますが、社長がお付き合いする人は社長が多いのでそういった働く人の世間相場に疎かったりします。
ある日社会保険の加入の相談で電話がかかってきたときのこと。
衝撃ブラック発言!入れる価値ないから入れない
先生、お世話になってます。
今いいですか?
いつもお世話になってます。
はい、大丈夫ですよ。
ウチの会社も社会保険に入ろうかと思ってるんですよ。
そうでしたか、それはいいですね。
会社設立からだいぶ経ちましたもんね。
そうなんだよね。
ウチは従業員が5人なんだけど、入れるのは4人にしようと思ってるんだよ。
あ、4人の方ですか。
たしか全員社員さんですよね?
フルタイムの。
そうなんだけどさ、1人はあまり働きが良くないんだよね。
だから入れてやらないと思ってるんだよ。
保険料も高いしね。
そうですか、う~ん。
社長、でも社会保険って選んで入れることってできないんですよ。
法律で要件に該当したら全員加入なんですよね。
それは他でも聞いたんだけどね。
だから1人は業務委託ってことにしようと思ってるんだよ。
つまり雇用してないから、社会保険も入れなくていいってことになるでしょ?
いや社長、それはマズいです。
ていうか今時そんな見え透いた逃げ道なんて、行政に刺されます。
そうかな、知り合いの社長が大丈夫だって言ってたよ?
それ見つかったら大ペナルティの可能性があるし、そもそも今時の従業員さんは知識があるから、すぐに見破られますよ。
やる気がなくなって退職になったら、求人募集費もかかります。
新人だったら教育し直しですよ?
・・・・。
社長はだんだん元気がなくなって、電話を切りました。
ブラック社長のホンネ できないやつにカネかけたくない
1か月後にまた電話がありました。
色々あったのですが要約すると、社会保険に入れる人はちゃんと仕事する人に限定したい。
ダメなのは分かったのだが、ちゃんとやらない人にも社会保険料を会社で負担するのは、気持ち的に納得がいかないというものでした。
ただ、社長の言い分も分からなくはなく、面接でこれぞという人を採用してもふたを開けてみないと分からないことが多いようでした。
なのでダメだろうとは思っていても納得が出来ずに、違法な社会保険の使い方をしていたようです。
最終的には紆余曲折ありましたが、有期雇用契約制度を導入して採用後6ヵ月は契約社員として働いてもらうことに落ち着きました。
もし万が一会社でやっていけない場合は6か月で雇用契約終了することが出来る制度です。
一方で社員が入社したら、全員初月から社会保険に加入させることを約束してもらい、なんとか解決につながりました。
ブラック企業がなくならない理由③ 社長が身勝手
人の上に立つ人間として人格的に素晴らしい社長が多いですが、身勝手そのものの社長もいます。
法律を守らない社長もいますが、経営的になかなか難しい場合もあり、守らないというより守れないこともあります。
ただ、単純に社長の身勝手で法律を守らないといったケースもあり、こちらもメンタルを削られます。
ある日、ある社長から社会保険の相談がありました。
衝撃ブラック発言!保険料高いから入らない
先生、お久しぶりです。
今いいですか?
社長、いつもお世話になっております!
ホント、お久しぶりですね。
そうだよね、実はオンナと沖縄に行っててさ。
昨日帰って来たんだよね。
・・・あ、そうでしたか。(心の声:たしか社長結婚してたよ。お子さんも・・・。なんか帰りたくなってきた。)
社会保険って入らなきゃならないの?
フルタイムを採用したんだけど、入れなくてもいいよね?
いや、社長。
御社は法人ですし、フルタイムの方は加入しなければならないですね。
なんかユーチューブで見たけど、個人事業主にすれば入れなくていいんでしょ?
いや、それはかなりブラックですよ。
やめた方がいいですよ。
そうなの?
でも保険料だって高いでしょ。
あんなの払ってたらやってけないよ。
社長、社会保険って会社の持ち出しだけではないんですよね。
従業員さんを守る医療保険であることはもちろん、年金も積みあがってくんですよ。
ちょっとオーバーかも知れないですが、従業員さんを採用することって、その人の人生を預かっていることと同じなんですよね。
そんなこと言ったって、厳しいもんは厳しいんだよ。
そもそもオタクの顧問料だって高いんじゃないの?
え?
いや社長、お見積もりも見てもらって契約書も交わしてますよ。
まあ、そうなんだけどさ。
うーん、ちょっと考えてみるよ。
ここで電話が切れました。
社会保険に入れるってことは、年金制度にも加入することを意味します。
自営業や無職の方は国民年金のみですが、会社にお勤めの方は国民年金と厚生年金のセットで加入することになります。
つまり、従業員さんの老後を預かっていることになるんです。
そんなに財政が厳しいって言うんだったら、オンナと沖縄なんて行かないでください・・・と正直思いました。
こんな社長ありえない、マジありえない・・・。
ブラック発言から一転!後日加入依頼あり
この話には後日談があるのですが、1カ月後くらいに加入依頼がありました。
何があったのか分かりませんが、採用されたフルタイムの従業員さんは無事手続きを済ませて社会保険に加入しています。
今後は無駄使いを控えて、経営に邁進して欲しいところです。
自分を守るのは法的知識です。
社会保険の概要は押さえておきましょうね!
まとめ
ブラック企業の社長の発言は、たいして深い考えもなく言っていることが多いんです。
世間相場を知らない、自分の感情を優先する、単純にカネがないなどで違法なことに手を染めようとする社長がいます。
社長も人間だもの・・・で、徐々に成長してくれれば良いのですが、まったく考えを変えないブラック社長もいます。
もし会社に未来はないと思った方は転職を視野に入れるのもありかも知れませんね。