雇用保険に入っていると失業手当がもらえます。
でも、ハローワークの資料を見ても難しいし、具体的なイメージが出来ないですよね!
この記事では難しそうな箇所を出来るだけ分かりやすくして記載してみました。
まずは全体像をざっくり捉えてみましょう。!
失業手当は退職の場面で金額が決まります!
会社を辞める場面は色々なパターンがあります。
大きく分けると自己都合退職と会社都合退職ですね。
自己都合退職とは、例えば会社が嫌になって自分で辞めるパターンです。
退職届を出して、直属の上司に「ちょっとお話が・・・」というやつですね。
そして会社都合退職もあります。
たとえば、「君は解雇だ!もう来なくていいよ」という場面や、契約社員で期間の定めのある契約をいつも更新してもらっていたのに「今回で更新は終わりだよ、申し訳ない!」といったような本人が働く意思がある場合です。
それぞれ、細かいルールがあって金額も変わってきます。
ケース1 自己都合退職って失業手当を貰えるの?
自己都合退職で失業手当はもらえます。
ただ、下記の2つのポイントを両方満たす必要があります。
会社で働いていた期間と、就職活動をしているかが問われます。
ポイント1
過去2年間で12か月以上働いていた人ならもらえる可能性があります。
ちなみに12か月は飛び飛びでも大丈夫です。
(例)
2021年1月~6月 A社勤務 → 6か月間働いた
2022年2月~9月 B社勤務 → 8か月間働いた
A社勤務で6か月+B社勤務で8か月=合計14か月 → 失業手当はもらえます。
ポイント2
就職活動を定期的にしていれば、もらえる可能性があります。
・ハローワーク窓口での職業の相談や、実際に企業の紹介を受けること
・求人への応募 → 面接、筆記試験の受験、インターネット応募もOK
・外部機関が行う企業説明会や転職フェアなどへの参加
・履歴書の書き方、面接対策といった就職支援講習やセミナーへの参加
・再就職のための国家試験や資格の受験
ちなみに失業手当は厳密に言うと基本手当と言いますので、ハローワークのパンフレットなどを見る時は覚えておくとよいですね。
自己都合退職の場合、失業手当の金額はいくら?
次に、金額を見ていきましょう。
会社に在籍していた期間が長いと、金額も増えていきます。
失業手当の金額の見方は独特で、もらえる日数と1日の金額で総額を計算する仕組みとなります。
●もらえる日数について
働いた期間 | 1年~10年未満 | 10年~20年未満 | 20年以上 |
もらえる日数 | 90日 | 120日 | 150日 |
正式には所定給付日数と言います。
もし仮に1日の額が5,000円だと、3年働いていたら5,000円×90日=450,000円もらえる計算となります。
そして、1日の金額ですがちょっと複雑です。
計算方法は2段階で計算します。
1日の金額 1段階目
過去6か月のお給料を合計して180日で割ります。
(例)1か月のお給料30万円の場合
30万円×6か月=180万円
180万円÷180日=1万円
1日の金額は1万円となります。
ただ、実はこの1万円では失業手当は計算しません!
2段階目を見ていきましょう。
ちなみに、この1段階目の正式な呼び名は賃金日額と言います。
1日の金額 2段階目
1段階目で計算した金額に一定の率をかけます。
一定の率とは45%~80%で年齢や1段階目の金額によって変わってきます。
仮に一定の率が50%だった場合は下記です。
(例)一定の率が50%
第一段階目の1万円×50%=5,000円
つまり、もらえる1日の金額は実は5,000円となるのです。
2段階目の正式な呼び名は基本手当日額となります。
では、最後に総仕上げです!
もらえる日数に1日の金額をかけてみて、具体的な事例を見てみましょう。
具体的な事例
(例)働いた期間12年 過去6か月のお給料総額180万円で一定の率が60%の場合
①もらえる日数は120日分となります。
お給料の総額は180万円なので、1日の金額を出します。
②180万円÷180日×60%=6,000円
そして総額の計算をします。
①120日×②6,000円=720,000円
つまり、720,000円が総額でもらえることになります。
失業手当の会社都合退職ってなに?
会社都合退職は色々なパターンがあります。
実際のケースを見て行きましょう。
会社都合退職とは
- 会社がつぶれて退職した方
- 会社をクビになって退職した方
- 労働契約が入社前に提示された内容と全然違って退職した方
- 給与の3/1を超える金額が支払われなかった月が2か月以上、または直近の6か月間に3か月あったなどで退職した方
- 給与が85%未満に低下して退職した方
- 退職直前の6か月間のうち3か月間に連続して45時間を超える残業が行われたため退職した方
- 退職直前の6か月間のうち1か月で100時間、または2か月平均で80時間超える残業が行われたため退職した方
- 会社が仕事内容の転換を指示した際に、必要な配慮を行っていなかったために退職した方
- 期間の定めのある労働契約で3年以上働いたが、契約更新されずに退職した方
- 期間の定めのある労働契約(1年未満)で更新される予定だったが、結局更新されず退職した方
- 上司や同僚などからワザと村八分、嫌がらせを受けて退職した方
- 会社がセクハラの事実を知りながら対策を行わずに退職した方
- 退職を勧奨されて退職した方(早期優遇退職制度は除く)
- 会社のせいで3か月以上休業したことにより退職した方
- 会社が法令違反をしていて退職した方
*判断はハローワークになるので不明な点は問い合わせてみましょう。
ちなみに、上記に該当する方は正式には特定受給資格者と言います。
そして、上記のパターンに該当すると失業手当が増えるようになっています。
ただ、失業手当をもらうためには前提として下記の2つのポイントを満たす必要があります。
ポイント1
過去1年間で6か月以上働いていた人なら貰える可能性があります。
これは自己都合退職の場合の半分でクリアできます。
ちなみに6か月は飛び飛びでも大丈夫です。
(例)
2021年1月~6月 A社勤務 → 2か月間働いた
2022年2月~9月 B社勤務 → 5か月間働いた
A社勤務で2か月+B社勤務で5か月=合計7か月 → 失業手当はもらえます。
ケース2~16のように会社がつぶれた!会社をクビになった!などという大変な状況なので、貰いやすくなっています。
ポイント2
就職活動を定期的にしていれば、貰える可能性があります。
これは自己都合退職と同じです。
会社都合退職の場合、失業手当はいくら?
ではつぎに金額を見て行きましょう。
自己都合退職と同じで手持ちの日数があります。
しかし、会社都合退職の場合は手持ちの日数が大幅に増えます。
下記の表で会社都合退職に該当する手持ち日数を具体的に見て行きましょう。
働いた期間 | 1年未満 | 1年~5年未満 | 5年~10年未満 | 10年~20年未満 | 20年以上 |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ー |
30歳~35歳未満 | 90日 | 90日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳~45歳未満 | 90日 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳~60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳~65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
日額に関しては自己都合退職と同様です。
1段階目の賃金日額、2段階目の基本手当日額というのがありましたね。
最後に総額を具体的に見て行きましょう。
具体的な事例
(例)
・過去6か月お給料総額180万円
・一定の率が60%
・45歳の場合
==============
①もらえる日数は330日分となります。
お給料の総額は180万円なので、1日の金額を出します。
②180万円÷180日×60%=6,000円
そして総額の計算をします。
①330日×②6,000円=1,980,000円
つまり、1,980,000円が総額でもらえることになります。
エマ先生、失業手当ってたまにハローワークの窓口で、トラブルになることがありますよね?
そうなの。
いままで雇用保険に入っているって思っていたのに、会社が未加入だったとかね。
それって許されるんですか?
従業員さんには全く非がないのに。
会社が未加入だった場合は、それ相応のペナルティが会社にあるんだよ。
また、未加入だった時期は原則2年までさかのぼりができます。
ただ、退職した人は退職の状況は詳細に伝えて欲しいな。
それはなぜですか?
失業手当が早くもらえたりすることがあるんだよね。
会社側は従業員さんを悪く言うことがあるから、窓口でしっかり真実を伝えましょう!
まとめ
退職の仕方で金額が大きく変わります。
ただ、前提として雇用保険に入っていたことが重要となるので、もし入っていない可能性がある場合は会社に問い合わせてみましょう。
証明できるものとして、雇用保険被保険者証、あるいは雇用保険被保険者資格取得届があります。
最近は雇用保険に加入の際にマイナンバーが必要なので、入社時に何も聞かれていない場合は未加入の可能性があります。
また、失業手当についてはこれ以外の細かい要件もあるので、気になるときはハローワークに問い合わせてみましょう。
退職手続きのスケジュール、流れを知りたい方は下記を読みましょう。
そして退職後に失業状態にあるときは、お金がもらえる制度があります。
退職後の国民年金の手続きはこちらを読みましょう。
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